アコースティック時代の凄まじいライブはこの「COMPLETE LIVE AT PLUGGED NICKEL」です。 1965年12月21日から23日にシカゴのプラグド・ニッケルで行われたライブの完全版ですが、21日のライブは録音機に問題があってまともに録音されておらず、実際に発売されたのは22日と23日のものです。
ディスク1から3までが22日のライブですけど、マイルスのトランペットに迫力がありません。 どうやら唇を切っていたらしく、ミストーンも多いしトリルも弱々しいです。 更にこの日は野次がうるさく、特に左側で聴こえるおっさんが鬱陶しいことこの上ない。 2ndステージとなるディスク2の3曲目「When I Fall In Love」で、ロン・カーターのベース・ソロのときに大声を張り上げて邪魔をします。 解説によると、歴代のベーシストの名前を挙げているとか。
3rdステージとなるディスク3は全体的にゆったりとしていて、マイルスの調子も大分良くなってきています。 面白いのは1stステージとなるディスク1の4曲目、「I Fall In Love Too Easily」。 ドラムのトニー・ウイリアムスが曲のテンポを上げようと煽りまくるのですけど、ピアノのハービー・ハンコック、ベースのロン・カーターが無視してゆったりとしたペースを保っているところが面白い、と同時にリズムを壊さないのが凄いと思いました。
また、1968年録音の「MILES IN THE SKY」というアルバムからエレクトリック・ギターが導入され、この頃から長期休息に入る1975年までをエレクトリック・マイルスと呼ばれています。 このアルバムではギターは参加していませんが、チック・コリアがエレクトリック・ピアノを弾いています。 もう少し先のライブで、デイヴ・ホランドがエレクトリック・ベースを弾くようになります。
CBS移籍第一弾のアルバム、「'ROUND ABOUT MIDNIGHT」です。 1955年にCBSと契約を結んだマイルスは、オリジナル・クインテットを結成します。 レコーディングは同年10月27日、1956年6月5日と9月10日の計3回で、プレスティッジとの契約が終わった1957年にようやく発売となりました。